mononobelab’s diary

創作や日常生活で出てくる科学用語について解説します.リクエストが有ればTwitterどうぞ.@yoiko_mononobe

素粒子 強い力 弱い力

「物理学には重力,電磁力の他に"強い力"と"弱い力"があるんだよ!」と言われる.

 重力や電磁力は身近なもので,難しそうな名前からすんなりと納得できるのですが,弱い力と強い力はその名前からまるで子供向けの本に出てくるような表現に思われがちです.しかし実際に弱い力と強い力は正式名称なのです.しかしこれらの力はマクロな物体,すなわち日常生活で扱うような目で見える物体を取り扱うときにはさほど影響を及ぼすものではなく,素粒子のようにとても小さい,ミクロな物体に影響を及ぼすのです.

 

 素粒子って何?

 素粒子とは内部構造のない粒子のことです.素粒子と聞くとどんなものが思い浮かぶでしょうか?電子?陽子?一般には素粒子ハドロン,レプトン,フォトンの3つにグループを分けることができます.

例えば馴染み深い電子やクオークレプトンに属し,陽子や中性子ハドロン,特に重粒子所属です.
 しかしこんなにも沢山の種類の"素"があるとは思えない,もっと単純にできないだろうか?と思う読者の方もいるでしょう.現代においてハドロンはもっと基本的な粒子の集まりであると考えられており,坂田模型,クォーク模型を経て標準模型が最も支持されています.

標準模型をざっくりと

 標準模型においてハドロンは6種類のクオーク,u (up),d (down),s (strange),c (charm),t (top),b (bottom),とその反粒子が結合してできています.それぞれ,uとd,sとc,tとbがペアになります.たとえば重粒子は3個のクオークが結合してできていて,陽子ではp(u,u,d),中性子ではn(u,d,d)となります.これらのクォークをくっつけるものをグルーオンといいます.糊ですね.

 さてこれ以上素粒子の話を詳しくやるとフェルミ粒子やボース粒子,スピンなど量子力学の内容に入り込んでいくためここでお話を止めましょう.

 

力の伝わり方

 さてお話を弱い力と強い力に戻しましょう.強い力はハドロンに関わる力,標準模型で考えるとクォークグルーオンの間に働く力ですね.一方弱い力というものはβ崩壊のもとになる力です.β崩壊とは中性子が陽子に変わるとき,電子とニュートリノを放出する現象です.

 このような説明ではwikiのほうがわかりやすいですね!もう少しわかりやすいように力が伝わるということをこのように考えてみましょう.まず力のやり取りをキャッチボールのように考えます.そしてボールが力を媒介する粒子とします.こう考えると強い力も弱い力も粒子のやり取りによって行われると考えられますね.このため弱い力や強い力は,弱い相互作用強い相互作用とも言われます.これらを踏まえた上で力を考えてみましょう.この力を媒介する粒子を中間子といい,中間子の吸収,放出は頻繁に行われます.一方弱い力は弱ボソンが媒介となる粒子であり,β崩壊自体起きにくい現象であるためこれを起こす相互作用が弱い力であることがわかります.

 最後になぜ粒子のやり取りで力が媒介できるの?と思う読者もいらっしゃるでしょう.ここでは詳しく説明はしませんが,空間に生じる変化に対して"場"という考え方が必要になります.より詳しく勉強したいのであればそのような言葉から始めると良いでしょう.